精神科入院とは？必要になる基準とその背景

精神科入院が必要になる基準やレベルは、患者の症状の深刻度、生活への影響、家族のサポート状況など、さまざまな要因で決まります。この記事では、入院の必要性を判断する基準や症状ごとの特徴、入院形態、さらに退院後の支援方法について詳しく解説します。

精神科入院が必要とされるケースは、患者が安全で適切な治療を受け、生活を再建するための重要な手段です。一方で、患者本人や家族にとっては大きな負担を伴うため、その必要性をしっかりと理解することが求められます。

精神科入院が必要な5つの基準

 

1. 気分の落ち込みによる日常生活の維持困難

代表的な疾患：うつ病、双極性障害
睡眠がほとんど取れない、食事が全く取れないといった場合は、身体機能の低下や合併症を引き起こす危険があります。入院では、医師や看護師が患者の生活リズムを整え、適切な薬物療法や心理療法を行うことで、症状の安定を図ります。

例）

• 睡眠時間が3時間未満の日が1週間以上続く
• 食欲不振で1か月に体重が5％以上減少

入院治療の目的は、日常生活を取り戻す第一歩を提供することです。

2. 自傷行為や他害行為の危険性が高い場合

代表的な疾患：境界性人格障害、重度のうつ病
自傷行為や他害行為が見られる場合、周囲の安全を確保するため、強制的な入院が検討されることがあります。この際には、医療保護入院や措置入院が適用されます。

具体例：

• 刃物を使用した自傷行為
• 家族や他者に暴力を振るう行為

このような場合、24時間の監視体制や精神的な安定を目的とした治療が行われます。

3. 幻聴や幻覚による社会生活への影響

代表的な疾患：統合失調症、幻覚を伴ううつ病
幻覚や妄想が原因で日常生活に深刻な影響が及ぶ場合、入院が推奨されます。例えば、幻聴により不安や恐怖を感じ、仕事や家庭生活に支障が出るケースが挙げられます。

治療では、抗精神病薬による幻覚の軽減と、心理的安定を目指したアプローチが行われます。

4. 家族や本人の負担軽減のためのレスパイト入院

レスパイト入院は、患者の症状が比較的安定しているものの、家族や介護者が一時的に負担を軽減するために利用されます。

ケース例：

• 介護疲れによる家族の体調不良
• 患者が自宅に閉じこもりがちで環境を変える必要がある場合

短期間の入院を通じて、患者と家族双方の精神的負担を軽減することが目的です。

5. 治療環境の不足による入院

自宅で適切な治療を受けることが難しい場合、環境を整えるために入院が選択されます。これは、薬物療法の調整や生活指導が目的です。

精神科入院の4つの形態

精神科入院には、以下の4つの形態があります。

1. 任意入院

患者本人が同意して行われる入院で、比較的自由度が高いのが特徴です。

2. 医療保護入院

家族の同意が必要で、患者本人が入院に同意しない場合でも、医師が必要と判断した場合に適用されます。

3. 措置入院

自傷他害の恐れがある場合に、都道府県知事の命令で行われる入院です。

4. 応急入院

緊急時に対応するための入院形態で、誰の同意も不要な場合に適用されます。

 

参照：精神科の入院制度

精神科入院の費用と経済的負担

精神科入院の費用は、入院期間や治療内容により異なります。医療保険や介護保険を活用することで、費用負担を軽減することが可能です。また、自治体の助成制度を利用することで、さらなる経済的支援を受けることができます。

入院になる前に訪問看護の利用も検討してみて

うつ病などの精神疾患がある場合、再発や再入院になる可能性が高いと言われています。

精神科訪問看護では、定期的なケアや症状の確認により、再入院の予防に効果的です。

 

退院後自宅で過ごしている間に症状が悪化し、再入院になってしまうのを避けるためにも、薬の管理や、生活リズムを整え、「衣食住」のサポートができる精神科訪問看護の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

精神科入院は、患者が適切な治療を受け、生活を再建するための重要な手段です。症状が軽いうちに治療を始めることで、入院を回避できる場合も多くあります。早期の相談や治療が、患者本人や家族にとって最良の選択となるでしょう。

精神科入院に関する疑問や不安がある場合は、医療機関や地域の支援サービスに相談し、適切な対応を受けることをお勧めします。

在宅医療、精神科訪問看護に興味のある方は、ぜひ『訪問看護ステーションららら』にお問い合わせください。