子どものころに親などと安定した関係が築けないと愛着障害になる可能性があります。
人間関係がうまくいかない、自分に自信が持てない、そんな悩みの原因は、愛着障害かもしれません。
本記事では、愛着障害とはなにかや診断基準について解説します。
愛着障害かもと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
愛着障害とは
愛着障害とは、幼い頃に親や身近な大人と安定した関係が築けなかったために、人との関わり方に支障が出る障害です。
子どもの愛着障害では、睡眠や食事の乱れ、自分や他人を傷つける行動、大人を試すような言動などが見られます。
大人の愛着障害では、感情のコントロールが難しく、対人関係で誤解を受けやすい傾向があります。
愛着障害の診断基準
愛着障害は、国際的な診断基準「DSM-5」では、反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)と脱却制型愛着障害(脱却制性対人交流障害)の2つに分類されています。
それぞれどのような障害で、どのような診断基準なのか解説します。
反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)
反応性アタッチメント障害とは、人に助けを求めたり、信頼したりするのが苦手な状態で、感情を出せない、人の目が気になる、自信が持てないなどの問題が見られます。
診断には以下のような条件があります。
A. 以下の2つの特徴が見られる
・苦しいときでも、大人に助けを求めることがほとんどない
・苦しいときでも、大人からの助けに反応することが少ない
B. 以下のうち2つ以上の特徴がある
・人に対する関心や感情の反応が少ない
・喜びなどの前向きな感情がほとんど見られない
・怖くない状況でも、理由のない怒り、悲しみ、恐怖が突然現れる
C. 以下のような経験が1つ以上ある
・愛情や安心感を与えられず、心のニーズが長期間満たされなかった
・何度も養育者が入れ替わり、安定した関係が築けなかった
・養育者が少なく、子ども一人ひとりに十分な関わりが持てない環境だった
D. Cのような環境が、Aの行動の原因と考えられる
E. 自閉スペクトラム症の診断基準には当てはまらない
F. 症状は5歳以前から見られる
G. 少なくとも9か月の発達年齢である
参照:連合小児発達学研究科「精神医学講義」
脱却制型愛着障害(脱却制性対人交流障害)
脱却制型愛着障害とは、見知らぬ人にもためらいなく近づき、過剰に馴れ馴れしく接する傾向がある障害です。
誰にでも甘えようとする行動は一見すると人懐こく見えますが、実は安定した愛着が築けなかったことによるものとされています。
診断基準は、以下のとおりです。
A. 以下のうち少なくとも2つが見られる
・初対面の大人にも平気で近づいて話しかけたり関わったりする
・年齢や状況にふさわしくないほど言葉や行動が馴れ馴れしい
・知らない場所でも、離れるときに保護者の方を振り返らない
・ほとんど迷わずに見知らぬ大人について行こうとする
B. Aの行動は、ADHDによる衝動性ではなく、社会的なルールの欠如による行動である
C. 以下のような経験が1つ以上ある
・愛情や安心感を与えられず、心のニーズが長期間満たされなかった
・何度も養育者が入れ替わり、安定した関係が築けなかった
・養育者が少なく、子ども一人ひとりに十分な関わりが持てない環境だった
D. Cのような環境が、Aの原因となっている
E. 子どもの発達年齢が少なくとも9か月ある
参照:連合小児発達学研究科「精神医学講義」
愛着障害に悩んでいる方は専門家に相談しよう
愛着障害は、幼少期の養育環境が心に深い影響を与えることから始まり、子どもだけでなく大人になってからも対人関係や感情のコントロールに支障をきたす場合があります。
反応性アタッチメント障害では人との関係を避け、脱却制型愛着障害では警戒心が薄れるなど、症状の現れ方はさまざまです。
思い当たる節がある方は、一度精神科や心療内科を受診するのをおすすめします。
また、訪問看護ステーションの利用も検討するのも選択肢の1つです。
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