「緘黙症」を持つ方は、ストレスや不安を感じると言葉を発するのが難しくなる場合があります。
緘黙症の方へ適切な看護を提供するために、コミュニケーションや接し方のコツ、看護のポイントを理解しておきましょう。
この記事では、緘黙症のある方に対する接し方のコツと、看護のポイントを解説します。
緘黙症とは?
緘黙症とは、特定の場面において言葉を上手く発せなくなる精神疾患です。
ほかの状況ではうまく話せるにもかかわらず、特定の状況で話せなくなることから「場面緘黙症」とも呼ばれます。
緘黙症は、もともと緊張しやすい気質の方や不安症の方、ASD(自閉スペクトラム症)の方に見られやすいと言われています。
ストレスや不安・緊張などを感じる環境において症状が強く出現するため、学校や職場などにおけるコミュニケーションへ支障が出るケースも珍しくありません。
治療や環境設定、トレーニング次第で社会参加を目指すことも可能であるため、看護師による適切なケアやコミュニケーションの提供が重要です。
参照:厚生労働省/分担研究報告 場面緘黙症の実態把握と支援のための調査研究
緘黙症の方に対する接し方のコツ
緘黙症の方と接する場合のコミュニケーションのコツを解説します。
無理に話さなくてもよいことを伝える
緘黙症のある方とコミュニケーションを図る場合、はじめに「無理に会話しなくてもよい」と伝えましょう。
緘黙症の方は、うまく会話しようとして緊張し、意思疎通ができなくなる場合があります。
コミュニケーションがうまくいかないためにストレスを感じ、症状が悪化する場合もあるため、症状を観察して配慮するのがポイントです。
言葉を発さなくともコミュニケーションは可能であると伝え、無理に会話の練習などを促さないようにしましょう。
緊張感を与えないよう接する
緘黙症はストレスや緊張などの不安を感じると悪化する可能性があります。
そのため、接する際は緊張感や圧迫感を与えないようにする配慮が重要です。
「無理に目を見て話そうとしない」「適度な距離を保つ」などの工夫を行い、安心してやり取りできるような環境作りを心掛けましょう。
「はい」や「いいえ」で答えられる質問を心掛ける
緘黙症の症状が強く現れるシチュエーションとして「曖昧な質問をされる」場面が挙げられます。
あまりにも選択肢の広い質問は言葉を詰まらせてしまう可能性があるため「はい」や「いいえ」のみで回答できる質問を心掛けると、スムーズにコミュニケーションを取れるでしょう。
緘黙症の方に対する看護内容
緘黙症の方に対して行える看護内容として以下があります。
・症状の観察
・環境調整
・コミュニケーション手段の提案
・就労支援や社会参加の支援
緘黙症の看護では、症状の緩和やコミュニケーションを取りやすい方法・環境を設定し、最終的には社会参加を促すのが1つのゴールです。
緘黙症が強く出現する条件を観察して対策したり、緊張やストレスをやわらげる方法を提案したりして、社会における「生きづらさ」を解消できるよう支援しましょう。
緘黙症は接し方のコツを押さえて看護を行おう
緘黙症の方と接する場合、コミュニケーション方法や接する環境の設定を行うのがコツです。
適切な接し方や看護のポイントを理解し、利用者さまが自分らしく生活できるよう支援を行いましょう。
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