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高齢者のアルコール依存症の特徴と対応:介護と並行した支援の選択肢

2026.05.25 精神科訪問看護とは

「親が最近お酒の量が増えた」「認知症かと思ったら飲みすぎが原因かもしれない」「介護しながらお酒の問題にも対応しなければならない」――日々の生活の中で、高齢のご家族の様子にこうした変化を感じ、情報を調べている方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、高齢者のアルコール依存症について、若い世代とは異なる特徴や、介護と重なることで生じやすい問題、そして認知症との関係性について整理して解説します。変化に気づき情報を探している今の段階が、これからの支援体制を見直すための大きな一歩になり得ます。ご家族の状況を客観的に見つめ直し、在宅で活用できる訪問看護などの選択肢を検討するための参考としてご一読ください。

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高齢者のアルコール依存症の特徴

アルコール依存症は、若い世代だけでなく、高齢者の間でも注意が必要な病気とされています。高齢者のアルコール依存症には、他の世代とは異なる特有の傾向や背景があると考えられています。

まず、定年退職によって仕事から離れたことや、配偶者との死別、子どもが独立したことによる孤独感などが、飲酒量が増える原因やきっかけになりやすいとされています。自由に使える時間が増加することで、昼間からお酒に手が伸びやすくなる状況が生まれやすいと言えます。これは男性だけでなく、女性の高齢者においても同様の傾向が見られる場合があります。

また、加齢に伴う身体機能の低下により、若い頃と同じ量のお酒であっても、体や脳への影響を受けやすくなっていると考えられています。アルコールを分解する機能が落ちているため、少量の飲酒でも酔いが回りやすく、身体へのリスクが高まるとされています。

さらに、長年の「晩酌の習慣」として日常に溶け込んでいることが多いため、アルコールに対する依存が進行していても、本人だけでなく同居する家族も見過ごしやすいという特徴があります。単なる趣味や加齢による衰えとして片付けられてしまうことで、問題が表面化しにくい場合があるのです。

 

見逃しやすいサインと認知症との関係

高齢者のアルコール問題は、加齢による変化と見分けがつきにくいことがあります。ここでは、見逃しやすいサインや、認知症との関連について解説します。

 

高齢者に見られやすい飲酒問題のサイン

アルコールによる影響が強くなると、日常生活の中でさまざまな行動の変化や症状として現れる場合があります。例えば、「家の中での転倒が増えた」「食事をきちんと摂らなくなった」「以前よりも物忘れがひどくなった」「昼間から飲酒していることが多い」「身だしなみに気を遣わなくなった」といった変化が挙げられます。

こうしたサインは「歳のせいだから仕方ない」と見過ごされがちですが、実はお酒が原因で引き起こされている可能性があるとされています。見落としがあったとしてもご家族の責任ではなく、気になった段階で早めに医療機関へ相談することが推奨されます。

 

アルコールと認知症の関係

長期的な過度の飲酒は、脳に影響を与える場合があると考えられています。アルコールが原因で脳の萎縮が進行しやすくなり、その結果として認知機能の低下を招くリスクが高まるとされています。これをアルコール関連認知症と呼ぶことがあります。

高齢者の場合、アルコール依存症と認知症が合併している割合も少なくないと考えられています。物忘れや判断力の低下といった症状が、加齢による一般的な認知症によるものなのか、あるいはアルコールの影響が強いのか、家族だけで判断するのは難しい場合があります。自己判断せずに専門の医師に委ねることで、家族の精神的な負担を軽減することにもつながります。

また、アルコールが影響している認知症様症状の場合、専門の医療機関で適切な治療を受け、断酒を継続することで、症状の改善が見られる場合があるとも言われています。

 

介護との関係:家族が直面しやすい問題

高齢者の場合、加齢による身体の衰えや認知機能の低下により、介護が必要な状態となることがあります。そこに飲酒問題が重なることで、家族や介護者の疲労が大きく増大する場合があります。

お酒の影響で転倒して骨折してしまったり、体調を崩して入退院を繰り返したりすることで、介護の必要性が急激に高まることがあります。また、介護サービスを利用しようとしても、飲酒によるトラブルが原因でサービスの継続が難しくなるといった問題に直面するケースも少なくありません。

このような状況において、本人に「お酒をやめる気がない」場合、家族だけで対応しようとすると心身ともに限界を迎えてしまう可能性があります。介護と飲酒の問題のすべてを家族一人で背負う必要はありません。ケアマネジャーやかかりつけの医師、専門の医療機関へ相談し、周囲の支援体制を構築していくことが重要であるとされています。

 

高齢者のアルコール問題への対応

高齢の家族の飲酒問題に対応する際、いくつか留意しておきたいポイントがあります。

まず、本人と話し合いをする場合は、本人がお酒を飲んでいないシラフのタイミングを選ぶことが推奨されます。酔っている時に話をしても、内容を覚えていなかったり、感情的になって反発を招いたりする場合があるためです。

本人が「自分は病気ではない」と受診や治療を拒否している場合であっても、無理に飲酒を責める必要はありません。まずは家族や介護者が単独で専門の医療機関や相談窓口に足を運ぶことが可能です。相談先を変えてみたり、時間を置いて再度アプローチしたりと、何度やり直してもよいのです。

また、本人の飲酒を結果的に手助けしてしまうような行動(イネイブリング)を少しずつ減らしていくことも大切であると言われています。例えば、本人に頼まれてお酒を買いに行ったり、お酒による失敗を家族が代わりに隠したりといった行動を見直すことが、状況の変化につながる場合があります。 (関連記事:アルコール依存症の家族がとるべき対応)

 

精神科訪問看護という選択肢

高齢になり通院が困難な場合や、在宅での介護と並行して支援が必要な場合、「精神科訪問看護」を利用して自宅でのサポートを受けるという選択肢があります。

 

服薬管理と体調確認

精神科訪問看護では、看護師などの専門スタッフが定期的にご自宅を訪問し、血圧や体温などの基本的な体調確認を行います。また、処方されたお薬が正しく飲めているかどうかの服薬管理もサポートします。高齢者の場合、複数のお薬を飲んでいることも多く、アルコールとお薬の飲み合わせによるリスクを防ぐためにも、専門的な視点での確認が役立ちます。

 

生活リズムの支援

昼夜逆転や食事の偏りなど、乱れがちな生活リズムを整えるための助言や支援を行います。定期的に訪問スタッフと会話を交わすことが、日中の適度な刺激となり、孤独感を和らげたり、飲酒以外の時間の過ごし方を見つけたりするきっかけにつながります。

 

家族・介護者へのサポート

訪問看護は、本人へのケアだけでなく、介護を担う家族へのサポートも目的としています。「何を相談していいか分からない」という場合でも、日々の介護や飲酒問題に対する悩み、疲労感をお話しいただくだけのご利用が可能な場合もあります。必要に応じて、途中で利用をお休みしたり、再相談したりすることも可能です。家族が休息を取り、ご自身の健康を守るための支援を行うことを目的としています。

 

ケアマネジャー・医療機関との連携

訪問看護ステーションは、主治医である医師や、介護保険サービスを調整するケアマネジャーなどの関連機関と連携を図りながら支援を進める場合があります。ご自宅での様子や変化を適切に報告し、医療と介護の双方から情報を共有することで、より包括的なケアプランの立案に役立てることが可能です。

 

費用と使える制度

精神科訪問看護を利用する際の費用については、基本的には医療保険が適用されます。

また、継続的な精神科通院が必要な方を対象とした「自立支援医療(精神通院医療)」という制度の適用を受けた場合、自己負担額が軽減される場合があります。 さらに、高齢者の場合は年齢によって「後期高齢者医療制度」が適用される場合があり、所得に応じた負担割合で利用することが可能です。

医療や介護、福祉にまたがる制度は手続きが複雑に感じられるかもしれませんが、ご自身ですべてを準備し、把握しておく必要はありません。ご自身の状況でどの制度が利用できるかなど、詳しくはご相談ください。

 

利用開始までの流れ

精神科訪問看護を利用し始めるまでの一般的な流れは、以下のような手順で進めていきます。

  1. 主治医に相談し、訪問看護指示書を発行してもらう 訪問看護の利用には医師からの指示書が必要となります。高齢者の場合、内科などのかかりつけの診療医がいらっしゃることも多いため、まずは日頃から受診している主治医にご相談ください。
  2. 訪問看護ステーションに問い合わせる 利用を検討しているステーションに連絡を取り、現在の状況を伝えます。ご本人からだけでなく、ご家族や介護者、ケアマネジャーからの問い合わせも可能です。
  3. 面談・契約 スタッフと事前面談を行い、サービスの内容や費用について説明を受け、契約を取り交わします。
  4. 訪問開始 医師の指示書と計画に基づいて、ご自宅への訪問が開始されます。

まずは相談だけでも構いません。お気軽にご連絡ください。

 

精神科訪問看護ステーション ラララについて

精神科訪問看護ステーション ラララは、福岡市全域を対象エリアとして訪問看護サービスを提供しています。

当ステーションには精神科認定看護師が在籍しており、精神疾患を抱える方々や、介護を行いながら不安を抱えるご家族が、地域で生活を続けていくためのサポートを行っています。

今日すぐに行動を起こすことが難しくても、何度立ち止まったり、相談先を変えたりしながら少しずつ進めていくことも可能です。まずは介護を担うご家族自身の健康を守ることを大切にしながら、一つの選択肢として思い出していただければと思います。

 

まずは相談だけでも構いません。お気軽にこちらからご連絡ください。

参照:MSDマニュアル

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