愛着障害は、幼少期の人間関係の土台がうまく築けなかったことにより、大人になってからも生きづらさや対人不安として現れる心の問題です。
本記事では、大人の愛着障害の具体的な症状や子どもの場合との違いについて解説します。
大人の愛着障害について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
大人の愛着障害とは
大人の愛着障害とは、子どもの頃に親や養育者と十分な信頼関係を築けなかったことにより、大人になっても人間関係に不安や困難を抱えてしまう状態をいいます。
これは幼少期に「大切にされた」という感覚を得られなかった経験が、心の土台として影響し続けるためです。
問題に気づかないまま成長すると、社会生活や恋愛関係でつまずく場面が増える場合も少なくありません。
愛着障害の診断基準については、以下の記事で解説しています。
関連記事:愛着障害の診断基準とは?大人と子どもの違いも解説
大人の愛着障害の症状
大人の愛着障害に見られる主な症状について、情緒面、対人関係、アイデンティティの3つの視点から解説します。
情緒面
大人の愛着障害では、感情のコントロールが難しく、日常生活や人間関係で悩む場面が多くなる傾向にあります。
たとえば、仕事でのちょっとした注意に強く落ち込んだり、友人やパートナーとの言い争いを必要以上に引きずってしまったりするケースがあります。
物事を極端に受け止めてしまい、「嫌われた」「もう無理だ」と思い込みやすくなるのも特徴です。
このような情緒の不安定さにより、感情が乱れやすい状態が続くと、日々の生活に支障をきたしかねません。
対人関係
対人関係での悩みは、大人の愛着障害の中でも多く見られる症状の1つです。
恋人や配偶者に対して過度に依存してしまったり、逆に人と深く関わるのを避けて孤立してしまったりします。
職場では上司や同僚と適切な距離を保てず、信頼関係を築きにくいことから、チームでの仕事がうまくいかない場合も少なくありません。
また、自分の大切な相手との関係が少しでも不安定になると、過剰に反応してしまい、関係そのものを壊してしまうケースもあります。
アイデンティティの問題
大人の愛着障害があると、「自分は何をしたいのか」「どんな人生を送りたいのか」といった問いに答えられず、選択の場面で迷いが大きくなりやすいです。
進学、就職、転職、結婚など、人生の節目での決断に自信が持てず、「これでよいのか」と不安に陥るケースが多々あります。
また、自分に価値がないと思うため、何をしても達成感や満足感を得にくく、仕事や人間関係に対しても無気力になる場合があります。
「自分らしさ」がわからないまま過ごすことは、大きなストレスとなり、精神的な負担を増やしてしまうのです。
子どもの愛着障害との違い
子どもの愛着障害では、初対面の人にすぐなついたり、逆に誰にも頼れず心を閉ざすなど、極端な人間関係のパターンが見られます。
リストカットや虚言、物への執着といった行動も症状の1つです。
一方で、大人になるとそうした行動は内面化し、「生きづらさ」や「人への不信感」として現れます。
大人は性格の問題と誤解されやすく、孤立することも多いため、適切な支援につなげることが重要です。
愛着障害かもと感じたら専門家に相談しよう
大人の愛着障害は、子ども時代の体験が原因で、人間関係や感情の扱いに悩みを抱えやすくなるものです。
自分の気持ちに自信が持てない、他人とうまく関われない、そんな生きづらさは、決してあなただけの問題ではありません。
症状に心当たりがある場合は、精神科や心療内科への通院を検討しましょう。
通院と合わせて訪問看護を利用するのも選択肢の1つです。
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