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愛着障害は治らないと聞いて、不安になっている方もいるかもしれません。たしかに、幼少期に形成された対人関係のパターンを変えることは簡単ではありません。「完全に治る・治らない」という白黒つけられるものではなく、揺らぎながら少しずつ回復していく可能性があるとされています。
この記事では、愛着障害の基本的な特徴から、「本当に治らないのか?」という疑問に対する考え方、それから回復に向けて少しずつ取り組んでいける具体的な4つの方法について解説します。
うまくいかない日があって当然ですし、変化が感じられない時期が続いても諦めなくてOKです。行きつ戻りつしながら、何度もやり直して進んでいけるものですので、どうかご自身のペースで読んでみてください。
愛着障害とは
愛着障害とは、幼少期に親などの養育者との間で、心の拠り所となるような安定した愛着関係(アタッチメント)が十分に形成されなかったことによって生じる、対人関係や感情コントロールにおける様々な困難さのことです。幼い頃に安心できる関係を築けなかった経験が、大人になってからの人間関係に深く影響を及ぼしている状態と言えます。
この影響は、大人になってからも恋愛・職場・友人関係など、他者と関わる様々な場面で出やすくなります。例えば、相手を信じきれず常に不安になってしまう、逆に親密になることを極端に恐れて自分から距離を置いてしまう、といった行きづらさとして表面化することが少なくありません。
こうした対人関係のパターンは、主に「回避型」や「不安型」などの傾向として現れることが多いとされています。ご自身がどの傾向に近いのかを知ることは、回復に向けた自己理解の第一歩となります。回避型や不安型の詳細については関連記事をご用意していますが、どこから読んでもOKですし、興味が湧いたタイミングで読んでみるだけで十分です。
参照:こころの情報サイト/愛着障害
愛着障害は本当に治らないのか
インターネットなどで「愛着障害は治らない」という情報を見かけて、絶望的な気持ちになった方もいらっしゃるかもしれません。しかし、愛着障害に対しては「完全に治る・治らない」という二項対立で考えるのではなく、「揺らぎながら少しずつ回復できるもの」「小さな実感から変化は始まるもの」と捉えることが大切です。
愛着のパターンは、一度形成されたら一生固定されて変わらないものではありません。安心できる安全な関係性を少しずつ積み重ねていくことで、変化していく可能性があるとされています。たとえ幼少期に傷ついた経験があっても、その後の人生での出会いや環境によって、新しい安心の感覚を育てていくことは可能なのです。
長年かけて形成された心のパターンを解きほぐすには時間がかかることが多く、変化のプロセスは行きつ戻りつ、何度もトライ&エラーで進むものです。後戻りしているように感じる日があっても、決して諦めなくてOKです。一人で抱え込まずに専門家のサポートを借りながら、ゆっくりと回復のプロセスを歩んでいきましょう。
愛着障害の回復に向けた4つの方法
ここでは、回復に向けて取り組める具体的な方法を4つ紹介します。ただし、これらはすぐに劇的な変化をもたらすものではなく、失敗や分からない日があって当然のものです。今日は休んでもOKですし、ご自身のペースで、できそうな時にだけ取り組んでみてください。
①安心できる環境を整える
愛着障害の回復には、安心して過ごせる環境が不可欠です。不安定な人間関係や過度なプレッシャーの中では心が休まらず、常に緊張状態を強いられるため、回復が難しくなりやすいとされています。
自分を否定せずにありのままを受け入れてくれる人や場所が、心の拠り所である「安全基地」になります。この安全基地は、特定のパートナーや信頼できる友人などの「人物」であることもあれば、落ち着ける自分の部屋や、一人で没頭できる趣味の時間など「場所や活動」である場合もあります。
回復を目指す過程で、無理に広い人間関係を作ろうと焦る必要はありません。少数であっても、自分が心から安心できる関係や空間を大切にすることが、回復の確かな土台になっていきます。うまく見つけられない時期があっても大丈夫です。
②自分の感情を言葉にする
愛着障害の傾向がある方は、自分の本当の感情がわかりにくかったり、それを言語化しにくかったりすることがあります。幼少期に感情を適切に受け止めてもらう経験が少なかったため、自分の感情に蓋をする癖がついている場合があるからです。
自分がいつ不安になるのか、どんな場面で苦しいと感じるのかを少しずつ言葉にしていくことで、心の中のもやもやとした感情の整理につながる場合があります。最初はうまく言えない・書けない・時間がかかってしまっても全く問題ありません。
日記に書き出してみる、スマートフォンのメモに残すなどの方法は、誰にも見せなくてよいので取り組みやすいでしょう。毎日書く必要はなく、気が向いた時にだけ書けば十分です。感情を言語化することは、自分自身の状態を客観的に理解し、「自分はダメだ」という自己否定を減らすことにつながる場合があります。
③過去の影響を理解し、今の自分と切り離す
人間関係でいつも同じつまずき方をしてしまうと、「自分の性格が悪いからだ」とご自身を責めてしまうかもしれません。しかし、愛着障害の傾向は過去の環境から形成された防衛パターンであり、今のあなたの性格や人格の問題ではないという視点を持つことが重要です。
過去の養育環境や経験が、今の自分の対人パターンに影響しているという仕組みを理解するだけで、「なぜ自分はこうなのか」という原因のわからない自己否定が和らぐことがあります。うまく切り離せない日があっても、できなくてもダメじゃないと自分を許してあげてください。
過去を変えることはできませんが、過去の経験が今の自分にどう影響しているのかを整理し、その意味づけを変えていくことは可能とされています。トラウマを伴うような記憶に一人で向き合おうとするのは困難なことが多いため、専門家のサポートを受けながら安全に進めることが有効とされています。
④専門家のサポートを活用する
長年かけて身体と心に染みついた愛着パターンを、自分一人の力だけで変えようとするのは非常に困難です。精神科や心療内科を受診したり、臨床心理士などによるカウンセリングを活用したりすることが、回復に向けた有効な選択肢のひとつになります。
専門家への相談は、初回は「ただ話すだけ」「話を聞くだけ」でも十分な一歩です。また、カウンセリングなどは一度始めたら続けなければならないというものではなく、出入りは自由です。途中でやめてもいいですし、また戻ってもいいのです。一時的にお休みして、ご自身が安心できるペースでサポートを活用してください。
回復に向けて大切にしてほしいこと
焦らないこと
回復に向けたプロセスにおいて最も大切なのは、焦らないことです。愛着の課題からの回復には時間がかかることが多く、決して一直線に進むものではありません。前進と後退を繰り返しながら、行きつ戻りつ何度もトライ&エラーで進むものだと捉えてください。「すぐに変わらなければ」と結果を急ぐ必要はなく、何度でもやり直しOKです。
自分を責めないこと
何度同じつまずきを繰り返しても、ご自身を責めないでください。恋愛や人間関係での強い不安や、人を避けてしまう傾向は、あなたの性格や意志の弱さではありません。それは、苦しい過去の環境を生き抜くために、あなたの子ども時代が必死に身につけた「環境への適応」の結果なのです。必死に生き抜いたご自身に労いの言葉をかけながら、少しずつ新しいパターンの獲得を目指していきましょう。
訪問看護でできる支援
愛着障害の傾向を抱えながら、日々の生活の中で孤立感や生きづらさを感じている方の療養生活を、精神科訪問看護がサポートできる場合があります。
精神科訪問看護では、専門の知識を持った看護師らが定期的にご自宅を訪問し、生活リズムの安定に向けたアドバイスや体調管理を行います。対人関係のストレスから心が不安定になった時でも、訪問看護のスタッフはあなたを否定することなく、安心して思いを吐き出せる「話を聞く場」を提供します。
訪問看護の利用も、出入り自由で一時休みも可能です。どんな相談内容でも歓迎しており、ご家族からのご相談だけでもOKです。主治医との情報共有や連携も行いながら、医療と生活の両面からあなたを支えます。批判されたり見捨てられたりしない継続的な関わりを通して、少しずつ心の中に安心感を育んでいくお手伝いをします。
こちらから、お気軽にご相談ください。
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参照:J-Stage