性依存症かもしれないと気づいたとき、まず頭に浮かぶのは「どこに相談すればいいのか」という疑問ではないでしょうか。「こんなことを病院で話してもいいのだろうか」「恥ずかしい思いをするのではないか」と不安になり、受診をためらってしまう方も多いのが現実です。
しかし、性依存症(強迫的性行動症)は、決して特別なことではなく、適切な医療機関で相談することで、回復に向けた一歩を踏み出せる「病気」の一つです。この勇気ある行動は、ご自身やご家族の生活を守る大切な一歩となります。
この記事では、受診すべき診療科の選び方から、初診の流れ、ご家族が取れるサポート方法について、わかりやすく丁寧に解説します。
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性依存症は何科に行けばいい?
「性的な行動をコントロールできない」という悩みはデリケートなため、病院選びで迷うのは当然です。まずは、基本となる相談先を確認してみてはいかがでしょうか。
精神科・心療内科が基本の相談先
性依存症に関する相談の窓口は、主に「精神科」または「心療内科」となります。
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精神科: 脳の働きの乱れや心の不調そのものを専門とする診療科です。依存症、抑うつ、不安障害などは精神科の領域に含まれます。
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心療内科: ストレスなどの心理的な要因によって、体に症状(胃痛や頭痛、動悸など)が現れる「心身症」を主な対象としています。
どちらを受診すべきか迷う場合は、まずは精神科を掲げているクリニックを探してみることをおすすめします。性依存症は、脳の報酬系と呼ばれる部分の働きが関係しているため、精神医学的なアプローチが有効であると考えられています。
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依存症専門外来のある医療機関が理想
最も適切なのは、大学病院や専門クリニックなどが設置している「依存症専門外来」です。こうした施設では、性依存症に特化した治療プログラム(グループミーティングや認知行動療法など)が用意されていることが多く、専門的な知見に基づいたサポートを受けられます。
ただし、専門外来は数が限られており、お住まいの地域の近くにない場合も少なくありません。その際は、まずは身近な精神科・心療内科でも十分にご相談いただけます。「専門外来でないと診てもらえない」ということはありませんので、どうぞご安心ください。
かかりつけ医から紹介してもらう方法も
いきなり精神科に行くことに抵抗がある場合は、普段から通っている内科などのかかりつけ医に相談し、適切な医療機関を紹介してもらうことも一つの方法です。紹介状を書いてもらうことで、スムーズに専門的な治療につなげられる場合も考えられます。
受診前に準備しておくと役立つポイント
病院に行く決心がついたら、受診当日の流れや準備しておくと良いことを確認しておくことをおすすめします。
初診でどんなことを話すのか
初診では、医師が状況を正確に把握するため、詳しくお話を伺います。あらかじめ下記の内容を整理しておくことで、落ち着いて伝えやすくなります。
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いつ頃から始まったか: 問題となる行動がいつ頃から気になり始めたか。
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どんな行動があるか: 性的な空想が止まらない、特定の行為(風俗利用、ポルノ視聴、SNS等)をやめたいのに繰り返してしまうなど。
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どのくらいの頻度か: 週に何度、あるいは一日に何時間くらいその行動に費やしているか。
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生活への影響: 仕事の遅刻、多額の借金、人間関係のトラブル、睡眠不足など。
これらは問診票に記入する場合も多いので、手帳やスマートフォンにメモしておくことをおすすめします。
費用・保険適用について
精神科や心療内科での診療は、基本的に健康保険が適用されます。 ただし、施設や検査の種類、処置の内容によって具体的な金額は異なるため、気になる場合は予約時に電話で確認してみることをお勧めします。
予約の取り方・匿名での受診について
多くの精神科・心療内科は「完全予約制」となっています。まずはお電話かウェブサイトから予約を取ることをおすすめします。 また、「匿名で受診したい」というご希望をお持ちの方もいらっしゃいますが、保険診療を受けるためには、基本的に本名での受診が必要となります。 医療機関には厳格な守秘義務があります。そのため、個人の通院歴や相談内容が外部(職場や家族など)に漏れることはありません。個人情報はしっかりと守られますので、ご安心いただけます。
本人が受診を拒否している場合
ご家族が「本人のために受診させたい」と思っても、本人が問題を認めなかったり、受診を強く拒否したりする場合も考えられます。
家族だけで相談窓口に行ってもいい
本人が受診を拒否している場合でも、まずはご家族だけで医療機関や相談窓口に足を運んでご相談いただけます。 多くの専門機関では「家族相談」を受け付けています。家族が現状を話し、本人への接し方や、どのように治療につなげていくかのアドバイスをもらうことは、状況を改善するための非常に有効なステップです。
精神保健福祉センターの活用
お住まいの自治体にある「精神保健福祉センター」や「保健所」も強力な味方になります。 ここは心の健康に関する公的な相談窓口で、無料で相談に乗ってもらえます。基本的に相談内容の秘密は守られます。不安なことがあれば、遠慮なくご相談ください。専門のスタッフが、適切な医療機関の紹介や、家族としての心の保ち方について一緒に考えてくれます。
受診を促すための言葉かけ
本人を責めるような言い方(「依存症なんだから病院に行きなさい」など)は、逆効果になる場合も考えられます。「あなたのせいで家族が困っている」と責めるのではなく、「あなたが苦しそうに見えるから心配している」「一緒に話を聞きに行ってみない?」というように、相手を思いやるメッセージを伝えるよう検討してみてはいかがでしょうか。
病院以外の相談窓口
医療機関以外にも、あなたの回復を支える場所は存在します。
依存症対策全国センター
厚生労働省が支援する「依存症対策全国センター」のウェブサイトでは、全国の相談窓口や依存症専門の医療機関を検索することができます。どこに行けばいいかわからないとき、まずはここからお近くの施設を探してみることをおすすめします。
自助グループという選択肢
依存症からの回復において、同じ悩みを持つ仲間とつながる「自助グループ」は大きな役割を果たします。 「SA(セクサホーリクス・アノニマス)」や「SCA(セクシュアル・コンパルシブズ・アノニマス)」といったグループがあり、そこでは匿名で自分の体験を話し、他者の話を聞くことができます。病院での治療と並行して活用することで、孤独感を和らげ、回復を長続きさせる力になる場合も考えられます。
通院が難しい場合は訪問看護も選択肢に
性依存症という問題は、本人が深い羞恥心や自己嫌悪を抱えやすく、それが重荷となって、抑うつ状態や強い不安症状を合併してしまうケースもあります。「自分が情けなくて外に出られない」「将来が不安で病院に通う気力が湧かない」といった状態になり、治療そのものが途切れてしまう場合も考えられます。
このように、精神症状の悪化によって**「通院自体が困難になっている」**場合に限り、「精神科訪問看護」をご利用いただくという選択肢があります。
精神科訪問看護とは、看護師などの専門スタッフがご自宅を定期的に訪問し、以下のようなサポートを行うサービスです。
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服薬の確認と症状観察: 薬の飲み忘れを防ぎ、副作用や体調の変化を継続的に見守ります。
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心理的なサポート: 自宅という安心できる環境で、不安や苦しみを否定せずに聴き、孤立を防ぎます。
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通院再開への橋渡し: 外出が難しい時期を支え、少しずつ体調を整えながら、再び外来受診ができるようにサポートします。
(※精神科訪問看護は、性依存症そのものを直接治療するものではありませんが、合併する精神症状を安定させることで、医療機関への通院を継続するための重要な支えとなります)
「病院に行きたくても動けない」「家族だけではどうしようもない」と感じているなら、専門家が家庭という生活の場に入ることで、状況を変えるきっかけが作れる場合も考えられます。
精神科訪問看護ステーション ラララでは、精神疾患や強い不安を抱える方、そしてご家族の皆様が、安心できる日常生活を取り戻せるよう専門的な知識と温かい心で寄り添います。基本的に秘密は守られます。不安なことがあれば、遠慮なくご相談ください。
あなたが自分自身を再び大切に思えるようになるために、私たちは一緒に考え、歩んでいきます。まずは相談だけでも構いません。こちらのフォームからお気軽にご連絡ください。
参照:厚生労働省