![]()
「もしかして自分は性依存症かもしれない」。そう感じたとき、まず何をすればいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。「ただ性欲が強いだけなのか、それとも病気なのか」「誰かに相談すべきことなのだろうか」。一人で悩み、不安を抱え込んでしまうのは、非常につらいものです。
性依存症(強迫的性行動症)は、単なる性格や倫理観の問題ではありません。適切なケアを必要とする心の病気の一つとして認識されています。
まずは自分の現状を客観的に見つめてみましょう。そうすることで、回復への第一歩が踏み出せます。この記事では、世界保健機関(WHO)が定める国際疾病分類(ICD-11)の基準をもとに、自分の状態を把握するためのセルフチェックリストをご用意しました。これまでの行動を振り返るための目安として、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:性依存症とは|症状・原因・治療法と家族ができるサポート
関連記事:性依存症の家族ができること|共依存を避けながら本人を支える方法
関連記事:女性の性依存症とは|男性依存・恋愛依存の特徴と原因・治療法
関連記事:男性の性依存症とは?「ただの性欲」との違いや特徴・原因を解説
性依存症のセルフチェックリスト
自分自身の性的な行動が、コントロールできなくなっているかどうかを確認するためのリストです。
チェックの前に知っておきたいこと
このチェックリストは医療診断ではなく、あくまで自分の状態を把握するための目安となります。確定的な診断については、精神科や心療内科の専門の医師が親身に対応してくれます。
以下の項目は、WHO(世界保健機関)が定める「強迫的性行動症(Compulsive sexual behaviour disorder)」の基準や、それに関連する症状をベースに構成しています。
セルフチェックリスト(10項目)
直近の半年から1年程度の自分自身の状態を思い浮かべて、あてはまるものがあるか確認してみてください。
-
性的な衝動や行動を自分でコントロールできないと感じることがある
-
性的行動(風俗利用、ポルノ視聴、SNS等)のために、仕事、学業、家族との時間などの重要な活動がおろそかになっている
-
健康問題、借金、人間関係のトラブルなどの問題が生じているのに、行動をやめられない
-
性的な行動そのものから以前のような快感や満足感を得られなくなっているのに、やめられない
-
こうした状態が、少なくとも6ヶ月以上続いている
-
「今日こそはやめよう」と決意しても、すぐにその約束を破ってしまう
-
1日の多くの時間を、性的な空想や準備、行動そのものに費やしている
-
性的行動を続けるために、家族や周囲に嘘をついたり、隠し事をしたり、借金をしたりしている
-
行動をした後に、強い自己嫌悪や罪悪感、激しい後悔に苛まれる
-
行動を控えようとすると、強い不安、イライラ、焦燥感(ソワソワする感じ)が生じる
(出典:WHO国際疾病分類第11版(ICD-11)強迫的性行動症の基準を参考に作成)
結果の見方・当てはまった数の目安
あてはまった数は、現在のあなたの「困りごと」の深さを示しています。
-
3個以下: 直ちに依存症の疑いが強いわけではありません。しかし、もし生活に不安を感じているなら、ご自身のペースで振り返りを行ってみてはいかがでしょうか。
-
4〜6個: 性的な行動が、生活の一部を圧迫し始めている可能性も考えられます。早い段階で専門家にアドバイスを求めることで、悪化を防ぐことにつながります。
-
7個以上: 性的な行動を自分の意志で止めるのが非常に困難な状態(やめたくてもやめられない「依存のサイクル」)にあると考えられます。一人で抱え込まず、早めに専門医療機関や相談窓口へ足を運ぶことをご検討ください。
チェック結果が気になった方へ
チェック項目に多くあてはまったとしても、ご自身を責める必要はまったくありません。
セルフチェックと医療診断は異なる
セルフチェックは、現在の行動パターンが「依存の傾向」にあるかどうかを知るためのツールの一つです。一方で、医療機関での診断は、医師が背景にあるストレスや他の精神疾患の有無、生活環境などを総合的に判断して行われます。結果を見て「自分はもうダメだ」と決めつけるのではなく、現状を改善するためのヒントとして、そっと心に留めてみてください。
専門家に相談するタイミング
「自分を責める気持ちが強くて苦しい」「やめたいと思っているのに行動がエスカレートしている」。もしそう感じているなら、それが誰かを頼るタイミングです。チェックが多く当てはまっても、どうかご無理をなさらず、自分を追いつめないでください。依存症は適切なサポートによって、再び自分らしい生活を取り戻すことが可能な病気です。
性依存症の主な症状と特徴
性依存症(強迫的性行動症)は、主に以下のような症状として現れることが指摘されています。
-
行動面のサイン: 衝動を抑えられず、不適切な場所でのポルノ視聴、過度な風俗通い、不特定多数との性交渉などを繰り返してしまいます。行動が習慣化し、日常生活の大部分が性的行動に占拠される場合も見受けられます。
-
精神面・生活面への影響: 激しい罪悪感や羞恥心、うつ状態を引き起こすことも珍しくありません。また、多額の出費による経済的困窮や、パートナーとの信頼関係の崩壊など、社会生活の土台が揺らぐ深刻な影響を及ぼすこともあります。
チェック後の次のステップ
不安を感じた方や、どこから相談して良いか迷っている方へ。回復に向けて頼れる選択肢をご紹介します。
一人で抱え込まずに相談する
依存症は「隠し続ける」ことで深刻化しやすい性質を持っています。まずは安全な場所で本音を打ち明けてみてはいかがでしょうか。
-
精神科・心療内科: 依存症の専門外来を設けている医療機関が理想的です。医師による診断のほか、必要に応じた薬物療法やカウンセリングをご活用いただけます。
-
自助グループ: SA(セクサホーリクス・アノニマス)など、同じ悩みを持つ当事者同士の集まりもあります。匿名で参加でき、仲間の体験を聞くことが大きな支えとして機能します。
治療・回復の選択肢
主な治療法の一つに「認知行動療法」が挙げられます。どのような状況で衝動が湧くのか(引き金となるトリガー)を分析し、行動をコントロールするための具体的な対処スキルを身につけていくものです。また、背景にあるトラウマや心の傷を癒していくプロセスも非常に大切と考えられています。
関連記事:性依存症は何科に行けばいい?病院の選び方と受診前に知っておきたいこと
関連記事:性依存症の治し方|自分でできること・専門治療・回復のステップ
抑うつや不安が強い場合は訪問看護も選択肢に
性依存症に悩む方の多くは、自分をコントロールできないことへの強い自己嫌悪から、重いうつ状態や不安障害を合併する場合も少なくありません。「自分が情けなくて病院に行けない」「将来が不安で家から一歩も出られない」といった状態になり、治療そのものが止まってしまうケースも考えられます。
このように、依存症の背景や結果として**「強い抑うつや不安症状」**が生じ、日常生活や通院が困難になっている場合に限り、「精神科訪問看護」を利用するという選択肢があります。
精神科訪問看護では、看護師などの専門スタッフがご自宅を訪問し、以下のようなサポートを行います。
-
服薬管理と体調観察: 薬の副作用の確認や、生活リズムが整うよう見守ります。
-
心理的ケア: 自宅という安心できる環境で不安や苦しみを傾聴し、孤独感を和らげます。
-
通院再開への橋渡し: 外出が難しい時期を支え、再び外来受診やリハビリができるようサポートします。
(※精神科訪問看護は性依存症そのものを直接治療するものではありませんが、合併する精神症状を安定させることで、回復に向けた通院や生活を継続するための重要な支えとしてご活用いただけます)
精神科訪問看護ステーション ラララでは、精神疾患や強い不安を抱える方が、再び自分らしい生活を送れるよう専門的な知識と温かい心で寄り添います。個人情報についてはしっかりと守られますので、不安があれば遠慮なくご相談ください。
あなたが自分自身を再び大切に思えるようになるために、私たちは一緒に歩んでいきます。まずは相談だけでも構いません。こちらのフォームからお気軽にご連絡ください。
参照:厚生労働省