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PTSDで仕事ができないのはなぜ?休職・復職・支援活用までの流れを解説

2026.05.11 精神科訪問看護とは

「働きたいのに、どうしても体と心がついてこない」 「以前のように仕事ができない自分はダメな人間なのだろうか」

PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えながら仕事を続けることは、想像を絶するほどのエネルギーを消耗します。今、あなたが仕事に支障を感じているのは、決してあなたの意志が弱いからでも、努力や能力が足りないからでもありません。すべては「PTSDの症状」のせいであり、傷ついた脳や神経が、あなたをこれ以上傷つけまいと必死に守ろうとして過剰に反応している結果なのです。

そして何よりお伝えしたいのは、どうにかしようと悩み、調べて、この記事にたどり着いた時点で、あなたはすでに十分すぎるほど努力しているということです。これ以上、ご自身を責めなくて大丈夫です。この記事では、仕事に支障が出る理由や休職の判断基準、そして自分らしく働くための支援の活用法について解説します。

参照:こころの情報サイト

関連記事:PTSDの治し方は?心理療法や薬物療法、呼吸法まで解説

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PTSDが仕事に与える影響

PTSDは、過去に経験した強烈なトラウマ体験が原因となり、脳や神経系が常に「非常事態」にあるような状態が続く疾患です。この状態が職場という環境において、具体的にどのような困りごとを引き起こすのかを見ていきましょう。

 

フラッシュバックや過覚醒が業務を妨げる

PTSDの代表的な症状に「フラッシュバック(再体験)」と「過覚醒」があります。これらは仕事のパフォーマンスに直結する大きな障壁となります。職場でよくある困りごととして、以下のような状態が挙げられます。

  • 業務中に突然、過去のトラウマが鮮明に蘇り、激しい恐怖や動悸、パニック状態に陥る
  • 同僚の話し声、電話の音、ドアが閉まる音などの些細な刺激にビクッとして極度に疲労する
  • 常に周囲を警戒しているため集中力が続かず、以前はしなかったようなミスを連発してしまう

些細なことで驚いたり動揺したりするのは、あなたの性格の問題ではなく、脳の自然な防衛反応です。脳が休まる暇がなく極度の疲労状態にあるため、ミスが増えてしまうのも当然のことなのです。

 

回避症状で職場に行けなくなることも

もう一つの主要な症状である「回避」も、就労に大きな影響を及ぼします。人間には自分を傷つけたものや苦痛を感じるものを避けようとする本能がありますが、PTSDではこの反応が非常に強く現れます。

もし職場での出来事(パワハラや事故など)が原因でPTSDを発症した場合、会社や通勤経路そのものが「トラウマの引き金(トリガー)」となります。頭では「行かなければならない」とわかっていても、朝起きられなかったり、通勤電車に乗ろうとすると足がすくんだり、激しい吐き気や恐怖感に襲われたりすることがあります。

通勤が難しいことや朝起きられないことは、我慢が足りないからでも、怠けでも一切ありません。あなたの心と体が、自分を守るために必死にブレーキをかけている状態です。回避症状によって出社が困難になるのは、PTSDにおいて自然な反応であることを知っておいてください。

関連記事:PTSD診断テストとは?症状チェックリストとセルフケア法|治療のポイントと訪問看護の役割

 

仕事を休むことを検討すべきサイン

責任感が強い方ほど、「自分が抜けて仕事が回らなくなったら周りに迷惑がかかる」「これくらいで休んではいけない」と自己責任化して、自分を追い込んでしまいがちです。しかし、あなたが無理を重ねて完全に倒れてしまっては、結局誰もあなたを守ることはできません。

 

こんな状態が続いていたら休職を考えて

以下のようなサインが日常的に現れている場合は、限界が近づいている証拠です。一度立ち止まり、休職(休養)を検討すべき段階かもしれません。

  • 毎朝、出社前に強い恐怖や吐き気がある
  • 職場に関連する夢を繰り返し見て、常に寝不足である
  • 業務中にフラッシュバックが頻繁に起きる
  • ミスが増え、それに対して「自分は価値がない」といった強い自己否定が止まらない
  • 「もう消えてしまいたい」「すべてを終わりにしたい」という気持ちが浮かぶ

こうしたサインに気づいたときは、一人で抱え込まず、早急に主治医や専門家に相談してください。特に「消えてしまいたい」という気持ちが浮かぶのは、あなたの心身が発している非常に深刻なSOSです。専門的なサポートを求めることは、自分自身を大切にするための勇気ある行動です。

 

休職は「逃げ」ではない

「仕事を休む=逃げること」と捉えて罪悪感を抱く必要はありません。PTSDの治療において、最も重要なのは「安全な環境で心身を休めること」です。職場がストレスの源となっている場合、その環境に身を置きながら回復を目指すのは非常に困難です。

休職は、決して後ろ向きな決断や弱さではありません。将来また自分らしく働くための「前向きな戦略」であり、自分自身の心身を守るための「自己管理の強さ」の現れでもあります。まずはしっかりと休むことで、回復のためのエネルギーを蓄える必要があるのです。

 

休職中にできること・意識したいこと

いざ休職に入ると、「何もしていない自分」に焦りを感じ、かえって不安が強くなることがあります。休職期間を少しでも穏やかに過ごすための考え方をご紹介します。

 

休職中は「回復」が仕事

休職期間中のあなたの唯一にして最大の役割は、「ゆっくり休むこと」です。「休んでいるのだから、家事くらいは完璧にやらなければ」「資格の勉強でもしなければ」と、完全に何かしなきゃいけないと考える必要は一切ありません。

「今日は一日中ベッドから出られなかった」としても、それは体が休みを必要としている証拠であり、回復に必要なステップの一つです。「何もできていない」のではなく、「しっかりと休むという仕事ができている」と何度も自分を許してあげてください。焦らずに休むことが、最も効率的な回復への近道になります。

 

生活リズムを整えることの重要性

心身のエネルギーが少しずつ蓄えられてきたら、無理のない範囲で生活のリズムを意識してみると、自律神経の安定につながることがあります。しかし、プレッシャーに感じる必要はありません。

  • 睡眠: 眠れなくても、決まった時間に布団に入って体を横にするだけで十分です。
  • 食事: 栄養バランスを気にしすぎず、気まぐれでもいいので自分が「食べたい」と思えるものを摂る。
  • 日光: 朝、カーテンを開けて太陽の光を浴びる。窓を開けて外の空気を吸うだけでも構いません。

これらは「絶対に毎日やらなければならない」という義務ではありません。「1日1つでもできたらすごい」「気まぐれでやってみよう」くらいのゆるい気持ちでOKです。また、休職中も自己判断で通院やカウンセリングをやめず、専門家との繋がりを継続しておくことが、安心感の維持に繋がります。

 

復職に向けての準備と注意点

休養を経て症状が落ち着いてくると、少しずつ「仕事に戻れるだろうか」という期待と不安が湧いてくるでしょう。復職を成功させるためには、慎重なステップと周りを頼る姿勢が求められます。

 

復職を焦らないための考え方

復職のタイミングは、自分一人で決めるのではなく、必ず主治医と相談しながら決めることが大切です。PTSDの症状には波があって当たり前です。「調子が良い日が数日続いたから大丈夫」と思っても、職場の環境に戻ると再び症状が強くなることもあります。

また、「以前と全く同じようにバリバリ働ける全快状態」まで完全に回復してから戻る必要はありません。「働きながら、少しずつ回復を続けていく」という選択肢もあります。無理なく戻り、元のパフォーマンスにすぐ戻れない自分を許してあげることが、再発を防ぐ鍵となります。

 

職場への配慮申請という選択肢

復職に際しては、職場に対して「合理的配慮」を求めることができます。職場という環境の中に、あなたのトラウマを刺激する要素(音、場所、人など)がある場合、それらを調整してもらうことは正当な権利です。

  • 時短勤務や週数日の勤務から段階的に始める
  • 負担の大きい業務や、トラウマを連想させる業務から一時的に外れる
  • 静かな場所で作業できるようにするなど、座席や環境を変更する

会社とのこうした調整を、あなた自身だけで抱え込む必要は一切ありません。主治医や産業医、支援機関などのプロと一緒に進めてOKです。負担を分散させながら、無理のない範囲で環境を整えていきましょう。

 

使える支援制度と訪問看護の活用

PTSDを抱えながらの就労や生活には、公的な支援制度や専門的なサービスを積極的に、そして何度でも活用することをおすすめします。

 

就労移行支援という選択肢

「今の職場に戻るのが難しい」「新しい仕事を探したいが不安」という場合には、就労移行支援という制度があります。 これは、PTSDなどの精神疾患を抱えながら働くことを希望する人を対象に、就職に向けたトレーニングや体調管理のアドバイス、自分に合った職場探しをサポートする福祉サービスです。

支援の相談は何度でもして良いものです。もし利用してみて「自分には合わないな」と感じたら、別の機関に変更することもすぐにできます。利用を検討される際は、主治医や地域の福祉窓口、ハローワークなどに気軽に相談してみてください。

 

通院が難しい場合は精神科訪問看護も

PTSDの症状が重く、外出自体が苦痛でクリニックへの通院が途絶えがちになってしまうこともあります。また、家の中で一人で過ごしていると、不安やフラッシュバックに襲われた際にどう対処していいかわからず、強い孤独を感じることもあるでしょう。

そのような場合に有効なのが「精神科訪問看護」です。看護師などの専門スタッフが定期的にご自宅を訪問し、以下のようなケアを行います。

  • 生活リズムの調整サポート
  • 服薬管理と症状の相談
  • 復職や社会復帰への伴走
  • ご本人やご家族の不安・孤独感のケア

在宅で「ただ不安な気持ちを聴いてもらう」だけでも、このサービスは十分に使うことができます。住み慣れた自宅という安心できる場所で専門的なケアを受けることは、孤独感を和らげ、回復への意欲を維持する大きな助けになります。「一人で何とかしなくては」という重荷を、専門家に少し分けてみてください。

PTSDの症状に対する具体的な接し方や、ご家族向けのサポートについては、以下の記事もぜひ参考にしてください。

関連記事:PTSDの人への接し方|家族・パートナーができる支え方と避けたい言動を解説

関連記事:PTSDの家族が知っておきたいこと|支え方・限界サイン・専門家への繋ぎ方

 

今のあなたは、これまで十分に頑張ってこられました。働けない時期があったとしても、あなたの人生の価値は一切減りません。今休むことが、将来の新しい一歩に必ず繋がります。トライ&エラーで何度でもやり直してOKです。まずは自分をいたわり、周りの社会資源を繰り返し活用してみてください。

精神科訪問看護ステーション ラララでは、PTSDを抱えながら日常生活や就労に困難を感じている方々の在宅生活を温かくサポートしています。

今後の働き方や生活のこと、まずは相談だけでも構いません。こちらから、お気軽にご連絡ください。

 

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