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反社会性パーソナリティ障害とは
反社会性パーソナリティ障害は、結果や他者の権利を軽視する広汎なパターンを特徴とする精神疾患です。反社会性パーソナリティ症と表記されることもあります。
パーソナリティ障害は、本人に重大な苦痛をもたらすか、日常生活に支障をきたす思考、知覚、反応、対人関係のパターンが長期的かつ全般的にみられる精神疾患です。「性格が悪いこと」を意味するものではありません。反社会性パーソナリティ障害は、その一つです。
反社会性パーソナリティ障害の特徴
反社会性パーソナリティ障害の特徴は、他者の軽視、衝動性、無責任性、感情と態度の4つに分けて説明されています。
他者の軽視
他者の権利、感情、法律を軽視します。金銭、権力、個人的満足などを得るために、人を欺いたり、言いくるめたり、操作したり、偽名を使ったりすることがあります。
衝動性
計画を立てたり、結果を考えたりすることが難しい傾向があります。たとえば、突然の引っ越しや人間関係の変更、計画のない退職がみられることがあります。怒りやすく、身体的な攻撃性を示すこともあります。
無責任性
機会があっても職を求めない、請求書の支払いやローンの返済を怠るといった形で、無責任さがみられることがあります。
感情と態度
他者への共感が乏しく、他者の感情や苦しみを軽んじることがあります。自分の行為への罪悪感が乏しく、被害者や世の中のせいにして合理化することがあります。被害者を愚かだった、または無力だったと責めることもあります。
非常に独断的で、自信家、傲慢なことがあります。また、望むものを得るために、感じがよく、口がうまく、説得力があるように振る舞うことがあります。
反社会性パーソナリティ障害の診断基準
反社会性パーソナリティ障害の診断は、米国精神医学会が作成した精神疾患の診断に関する標準のリファレンスであるDSM-5-TRの基準に基づいて、医師の評価により下されます。
診断には、他者の権利を軽視し続けていることが必要です。そのうえで、次の7項目のうち3つ以上が認められる必要があります。
・逮捕の対象となる行為を繰り返すことに示される、法律の軽視
・繰り返しの嘘、偽名の使用、個人的利益や快楽のための言いくるめに示される、詐欺性
・衝動的な行動、事前の計画の欠如
・繰り返す身体的喧嘩や他者への攻撃に示される、易怒性や攻撃性
・自分や他者の安全の向こう見ずな軽視
・別の仕事のあてなく仕事を辞める、請求書を払わないことに示される、一貫した無責任さ
・他者を傷つけたり虐待したりすることへの無頓着、またはそれを合理化することに示される、後悔の欠如
診断されるのは18歳以上の人に限られます。また、15歳未満で素行症を発症していた証拠が必要です。素行症は、他者の基本的権利を侵害する行動や、年齢相応の社会規範に違反する行動を繰り返す病気です。
反社会性パーソナリティ障害の原因
遺伝因子と、小児期の逆境などの環境因子が関わるとされています。第1度近親者(親、きょうだい、子ども)に、一般の集団より多くみられます。
素行症から反社会性パーソナリティ障害に進行する可能性を高める要因として、親による虐待やネグレクト、一貫性のないしつけが挙げられています。
反社会性パーソナリティ障害の有病率と男女差
有病率の推定は、米国と英国で2〜6%の幅があります。女性より男性に約3倍多くみられます。
高齢者層では少なく、時間の経過とともに行動を変えることを学べることを示唆しているとされています。
他のパーソナリティ障害との違い
反社会性パーソナリティ障害は、自己愛性パーソナリティ障害や境界性パーソナリティ障害と区別されます。
| 項目 | 自己愛性パーソナリティ障害 | 境界性パーソナリティ障害 |
| 反社会性パーソナリティ障害との共通点 | 搾取的で、共感性に欠ける | 操作的な振る舞い |
| 反社会性パーソナリティ障害との違い | 攻撃性や虚偽性は通常ない | 目的は金銭や権力ではなく、世話をされること |
どのパーソナリティ障害にあたるかは、医師が評価して判断します。
関連記事:境界性パーソナリティ障害(BPD)とは?特徴・原因・治療の基本を解説
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反社会性パーソナリティ障害の治療
反社会性パーソナリティ障害は、治療が非常に困難とされています。特定の治療法で長期的な改善が得られたという報告はなく、治療では他者への危害を防ぐといった短期的な目標に焦点が置かれます。
精神療法では、好ましい行動の変化に報酬を与える行動療法の一種である随伴性マネジメントが、限定的ながら有益とされています。
攻撃性や衝動性が問題になる場合は、気分安定薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が有益となることがあります。ただし、一部の症例に限られます。
受診を考える目安
人との関わりや考え方、感じ方によって日常生活に支障をきたしていたり、苦しさを感じていたりする場合は、精神科・心療内科などの専門の医療機関への相談を検討してください。
パーソナリティ障害は、大多数の人とは違う反応や行動をすることで、本人が苦しんだり、周囲が困ったりする場合に診断されます。医師が疑う根拠のひとつは、苦痛を感じていることや、日常的な役割を十分に果たせないことです。
診断の際、医師は問診を行います。問診では、自分や他者をどう捉えているか、自分の行動への否定的な反応にどう対処しているかなどを尋ねます。友人や家族から情報を聞くことがあります。
治療では、経験が豊富で、決めつけをせず、患者の自己像、心の繊細な部分、普段の対処方法を理解できる専門家を選ぶことが重要とされています。パーソナリティ障害の治療では、比較的長期にわたって、患者と治療者が協力して対応を続けることがしばしば必要になります。
まずは相談だけでも構いません。こちらからお気軽にご相談ください。
参照:MSDマニュアル