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双極性障害を抱えるご家族が、突然ひどい暴言を吐くようになったり、後先考えずに大きなお金を使ってしまったり、急に怒り出したり……。予測のつかない言動に振り回され、「どうしてこんなことをするのか」「もう限界かもしれない」と困り果てていませんか?
この記事では、双極性障害によって引き起こされる、周囲が困惑する行動(迷惑行為)の具体的な内容や、なぜそのような行動をとってしまうのかという症状の背景、そしてご家族がご自身を守りながら対応するための方法について解説します。
まずお伝えしたいのは、ご家族を悩ませている数々の言動は、ご本人の性格や悪意から起きているのではなく、病気の症状によって引き起こされているということです。その背景を理解し、専門機関と協力しながら対処法を見つけていくことで、現状を改善する糸口が見えてくるはずです。
双極性障害で見られる迷惑行為とは?
双極性障害の気分の波、特に「躁(そう)状態」や「混合状態」と呼ばれる時期には、ご本人も自分の感情や行動をコントロールすることが難しくなります。そのため、周囲の人から見ると「迷惑」と感じてしまうような行動が顕著に現れることがあります。具体的には、以下のような行動が見られます。
暴言・攻撃的な言動
普段は穏やかな方であっても、些細なことで突然激怒したり、相手を傷つけるような強い言葉を投げつけたりすることがあります。「自分が絶対に正しい」という思い込みが強くなっているため、周囲からのアドバイスや注意を「自分を否定された」と受け取り、強い反発や攻撃的な態度として現れることがあります。ご家族が最も精神的なダメージを受けやすい症状の一つです。
衝動的な行動(散財・無謀な計画など)
判断力が著しく低下し、結果を深く考えずに衝動的な行動をとることがあります。高額な買い物を繰り返す、手当たり次第に不要な契約を結ぶ、突然仕事を辞めて無謀な事業を始めようとするなど、社会的・経済的な信用を失いかねないトラブルを引き起こすリスクがあります。これは、気分が極端に高揚し、「自分は何でもできる」と気が大きくなっているために起こるとされています。
睡眠を無視した行動(深夜の連絡・外出など)
「ほとんど眠らなくても平気」「エネルギーが溢れて疲れない」と感じるのも、双極性障害の特徴的な症状です。そのため、深夜や早朝であっても周囲の都合を考えずに電話をかけ続けたり、目的もなく外を徘徊したりすることがあります。同居しているご家族の睡眠も妨げられるため、共倒れになるリスクもあります。
過剰なハイテンションと大声
気分が異常に高ぶり、休むことなくしゃべり続けたり、状況にそぐわない大声で話し続けたりすることがあります。次々と新しいアイデアが浮かび、話の筋道が飛躍して支離滅裂になることも少なくありません。ご本人は絶好調だと感じていますが、周囲は対応に追われて疲弊してしまいます。
迷惑行為の原因となる双極性障害の症状
ご家族を悩ませるこれらの言動は、主に双極性障害における「躁状態」や「混合状態」といった病的な気分の波が原因となって引き起こされます。
躁状態とは(気分高揚・判断力低下・衝動性の亢進)
躁状態とは、気分が異常に高揚し、開放的または怒りっぽくなる状態が続く期間のことです。エネルギーに満ち溢れているように見えますが、実際には活動性が過剰に高まり、ブレーキが効かなくなっている状態です。自分の能力を過大評価し、危険を顧みない衝動的な行動(散財や無謀な投資など)が増加します。同時に判断力が著しく低下しているため、後になって取り返しのつかない事態になることが多くあります。
混合状態とは(躁とうつが混在する最も不安定な時期)
混合状態とは、気分の落ち込み(うつ)と、エネルギーの過剰(躁)が同時に、あるいは短期間で急激に入れ替わって現れる状態です。例えば、「気分はひどく落ち込んで絶望しているのに、体は落ち着かず動き回ってしまう」「イライラして焦燥感が強い」といった状態になります。非常に苦痛が強く不安定な時期であり、衝動的な行動や攻撃性、さらには自傷行為や自殺のリスクが最も高まる危険な状態とされています。
双極性障害が悪化しているサインと受診が必要なタイミング
双極性障害は、再発を繰り返しやすい病気です。以下のサインのうち、どれか一つでも当てはまるものがあれば、ご家族が「怖い」「しんどい」と感じた時点で主治医へご相談ください。トラブルを未然に防げなかったとしても、ご家族のせいではありません。気づいたタイミングで専門機関へ相談することが大切です。
- 睡眠時間が極端に短くなった(眠らなくても平気そうにしている)
- 口数が異常に増え、早口でしゃべり続ける
- 次々と新しいことを始めようとし、じっとしていられない
- 些細なことで激しく怒ったり、イライラしたりする
- 普段なら買わないような高価なものを衝動的に買う
- 「自分は特別な人間だ」「偉大な発見をした」など現実離れしたことを言う
- 服装や化粧が急に派手になる
双極性障害の迷惑行為に対して家族ができる対処法
ご家族がご本人の言動に巻き込まれず、自分自身を守りながら対応していくためには、いくつかのポイントがあります。最初からすべてうまくできなくても構いません。状況に合わせて何度でもやり直すことができます。
躁状態のときは肯定も否定もしない
躁状態にあるご本人は、自分の考えがすべて正しいと信じ込んでいます。そのため、「それは間違っている」「やめなさい」と頭ごなしに否定すると、激しい怒りを買い、攻撃の的になってしまう危険があります。一方で、すべてを肯定して話を合わせてしまうと、行動をエスカレートさせる原因になります。「あなたはそう思っているのですね」と、否定も肯定もせずに中立的な態度で受け流し、物理的・心理的な距離を保つことが大切です。
大きなお金の動きにあらかじめ備えておく
双極性障害において最も深刻なトラブルになりやすいのが、躁状態のときの散財や借金です。調子が安定している時期に、ご本人としっかり話し合い、対策を講じておくことが重要です。「クレジットカードは家族が預かる」「預金通帳の管理方法を決める」「一定額以上の買い物をするときは必ず相談する」といったルールを、ご本人の同意を得てあらかじめ決めておきます。このルールは、専門家も交えながら状況に応じて何度でも見直して構いません。
限界を感じたら一人で抱え込まず医療機関へ
ご本人の症状が激しく、ご家族だけでは対応しきれないと感じたら、絶対に無理をしてはいけません。「これ以上は嫌だ」「対応が怖い」と感じたら、限界を迎える前に、主治医や地域の保健所、精神保健福祉センターなどの専門機関にすぐ相談してください。家族会などに「ただ話を聞きに行ってみる」だけでも十分な一歩です。「これ以上は対応できない」と外部へ連絡することは、ご家族自身の心身を守るため、そしてご本人の適切な治療のために必要な行動です。
入院が必要になるケース
ご本人の症状が著しく悪化し、外来での治療が困難になった場合や、ご自身を傷つける恐れ、あるいは他者に害を及ぼす恐れがある場合には、入院治療が必要となります。ご本人が入院に同意しない場合でも、精神保健指定医の診察の結果、入院が必要と判断され、ご家族等の同意があれば「医療保護入院」となるケースがあります。また、自傷他害の恐れが著しく高い場合は、行政の権限による「措置入院」となることもあります。
入院はご本人を責めるものではなく、またご家族の努力不足でもありません。症状を安定させるための重要な選択肢です。介入のタイミングに迷ったり、間違ったりしてもやり直しはできますので、何度でも主治医にご相談ください。
訪問看護でできる支援
双極性障害を抱える方とご家族の生活を支えるための選択肢として、精神科訪問看護があります。専門の看護師らが定期的にご自宅を訪問し、さまざまな面から療養生活をサポートします。
まず、症状悪化の早期発見に努めます。ご本人の睡眠状態や言動の小さな変化をいち早くキャッチし、躁状態やうつ状態の再発サインを見逃さないように対応します。また、気分の波によって自己中断しやすいお薬の服薬管理もサポートし、再発予防を徹底します。
さらに、ご本人の対応に疲弊しているご家族への支援も大切な役割です。日々の悩みや不安をお聞きし、具体的な接し方のアドバイスや精神的なサポートを行います。必要に応じて医療機関への受診同行を行うなど、主治医や関係機関と情報を共有しながら、適切な治療が継続できるよう連携を図ります。
『訪問看護ステーションラララ』では、双極性障害のご本人とご家族の生活をサポートしています。対応に悩まれたときは、『こちら』からお気軽にご相談ください。
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