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PTSDの迷惑行為はなぜ起こる?家族が困ったときの対処法と相談先

2026.06.02 精神科訪問看護とは

PTSDを抱える家族が突然怒鳴る、特定の話題になると激しく拒絶する、些細なことで過剰に反応する……そんな言動に、どう対応すればいいか分からず困り果てていませんか?

この記事では、PTSD(心的外傷後ストレス障害)によって引き起こされる、周囲が困惑する行動(迷惑行為)の具体的な内容や、なぜそのような行動をとってしまうのかという症状の背景、そしてご家族が対応するための方法について解説します。

まずお伝えしたいのは、ご家族を悩ませている数々の言動は、ご本人の意思や性格によるものではなく、PTSDの症状から起こっているということです。その背景を理解し、専門機関と協力しながら対処法を見つけていくことで、現状を改善する糸口が見えてくるはずです。

 

PTSDで見られる迷惑行為とは?

PTSDの症状を抱えていると、ご本人も自分の感情や行動をコントロールすることが難しくなります。そのため、周囲の人から見ると「迷惑」と感じてしまうような行動が顕著に現れることがあります。具体的には、以下のような行動が見られます。

 

突然怒鳴る・攻撃的になる

普段は穏やかな方であっても、何かのきっかけで突然激しく怒り出したり、攻撃的な態度をとったりすることがあります。周囲から見れば些細な出来事であっても、ご本人にとっては過去のトラウマ体験と結びつき、強い恐怖や脅威を感じているため、自分を守ろうとする防衛反応として攻撃性が表に出ることがあります。ご家族が最も対応に戸惑い、精神的なダメージを受けやすい症状の一つです。

 

特定の場所・話題を頑なに避ける(回避行動)

過去のつらい出来事を思い出させるような特定の場所に行きたがらなかったり、特定の話題になると不自然なほどに話を逸らしたり、激しく拒絶したりすることがあります。約束の直前になって突然キャンセルを繰り返すこともあり、周囲は振り回されて困惑してしまいます。これは、苦痛な記憶を呼び起こす刺激から無意識に逃れようとする、PTSDの特徴的な症状です。

 

些細なことに過剰に反応する・びくびくする

常に神経が張り詰めている状態であるため、少しの物音や予期せぬ出来事に対して、普通では考えられないほど過剰に驚いたり、びくびくしたりすることがあります。周囲の人が何気なくかけた言葉や行動に対しても、「責められている」「攻撃される」と極端に捉えてしまい、過剰な反応を示すことがあります。

 

感情が突然麻痺したように見える

喜怒哀楽の感情が平坦になり、周囲の出来事に対して無関心であるかのように見えることがあります。大切な家族の行事や会話にも全く興味を示さず、ぼんやりしている時間が増えることがあります。周囲からは「冷たい」「自分勝手だ」と誤解されがちですが、これはトラウマによる圧倒的な苦痛から心を守るため、感情を一時的に麻痺させている防衛反応とされています。

 

迷惑行為の原因となるPTSDの症状

ご家族を悩ませるこれらの言動は、ご本人が意図してやっているわけではなく、過去のトラウマ体験から身を守るための防衛反応が誤作動している状態です。主にPTSDにおける以下の症状が原因となって引き起こされます。

 

フラッシュバックと再体験症状

PTSDの代表的な症状の一つです。突然、過去のつらい出来事が鮮明によみがえり、今まさにその場にいるような感覚になる状態です。映像や音、身体の感覚などがリアルに再現され、強い恐怖や苦痛を伴います。フラッシュバックが起きている最中は、周囲の状況が認識できなくなり、突然パニック状態に陥ったり、攻撃的になったりすることがあります。

 

過覚醒(常に危険に備えている状態)

トラウマ体験の影響により、神経が常に張りつめており、小さな刺激にも強く反応してしまう状態です。リラックスすることができず、常に警戒心を持っています。そのため、些細なことで怒りやすくなったり、不眠に悩まされたりします。

 

回避と感情麻痺

トラウマを思い出させるような人、場所、状況、話題などを無意識に避けようとする症状です。また、苦痛な記憶に対処するため、感情を切り離し、麻痺させることがあります。これらの症状は、ご本人がこれ以上傷つかないようにするための自己防衛の手段ですが、結果として周囲とのコミュニケーションを難しくし、孤立を深める要因となります。

なお、幼少期の虐待や長期にわたる暴力など、繰り返されるトラウマ体験によって生じる「複雑性PTSD」では、上記の症状に加えて感情のコントロールの困難さや対人関係の問題が顕著に現れることがあります。

参照:こころの情報サイト/PTSD

 

PTSDが悪化しているサインと受診が必要なタイミング

PTSDの症状は、放置すると日常生活に大きな支障をきたすため、早期に気づいて医療機関へつなぐことが重要です。以下のサインのうち、どれか一つでも当てはまるものがあれば、ご家族自身が「おかしい」「しんどい」と感じたタイミングで、主治医へご相談ください。

  • 悪夢や不眠が続く
  • フラッシュバックの頻度が増えた
  • 外出や人との接触を極端に避けるようになった
  • 感情の起伏が激しくなった、または感情が全く見えなくなった
  • 飲酒量や服薬量が急激に増えた
  • 自傷や希死念慮(死にたいという思い)が見られる

 

PTSDの迷惑行為に対して家族ができる対処法

ご家族がご本人の言動に巻き込まれず、自分自身を守りながら対応していくためには、いくつかのポイントがあります。最初からすべてうまくできなくても構いません。状況に合わせて何度でもやり直すことができます。

 

フラッシュバック中は刺激を与えず、そっとそばにいる

フラッシュバックが起きているときは、ご本人は過去のトラウマ体験の中で強い恐怖を感じています。無理に触れたり、大きな声で呼びかけたりすると、さらに混乱させる危険があります。「ここは安全だよ」「今、○○にいるよ」と、現在の安全な環境(今ここ)に戻れるよう、落ち着いた声で短く声をかけることが有効とされています。何を言えばよいかわからない場合は無理に言葉をかけず、刺激を最小限に抑え、静かにそっとそばにいるだけでも十分です。

 

「なぜそんなことをするのか」と問い詰めない

PTSDによる迷惑行為は、ご本人も自分の感情や行動をコントロールできていません。「なぜそんな態度をとるのか」「どうして約束を破るのか」と問い詰めても、本人にもうまく説明できないことが多く、かえって自己嫌悪やパニックを強める原因になります。責めたり問い詰めたりせず、症状からきているものだと理解し、冷静に対応することが求められます。

 

支える側も限界を超えないよう、専門機関に相談する

ご家族が我慢や努力だけで乗り越えようとする必要はありません。限界を感じる前に、主治医や地域の保健所、精神保健福祉センターなどの専門機関に相談してください。家族会などに参加し、同じ悩みを持つ人たちと情報を共有することも有効です。SOSを出すことは、ご自身の心身を守るため、そしてご本人の適切な治療のために必要な行動です。

 

入院が必要になるケース

ご本人の症状が著しく悪化し、外来での治療が困難になった場合や、ご自身を傷つける恐れ、あるいは他者に害を及ぼす恐れがある場合には、入院治療が必要となります。ご本人が入院に同意しない場合でも、精神保健指定医の診察の結果、入院が必要と判断され、ご家族等の同意があれば「医療保護入院」となるケースがあります。また、自傷他害の恐れが著しく高い場合は、行政の権限による「措置入院」となることもあります。

入院はご本人を責めるものではなく、ご家族の努力不足でもありません。症状を安定させるための重要な選択肢です。介入のタイミングに迷ったりしても、何度でも主治医にご相談ください。

 

 

訪問看護でできる支援

PTSDを抱える方とご家族の生活を支えるための選択肢として、精神科訪問看護があります。専門の看護師らが定期的にご自宅を訪問し、さまざまな面から療養生活をサポートします。

まず、症状悪化の早期発見に努めます。ご本人の睡眠状態や言動の小さな変化をいち早くキャッチし、フラッシュバックや過覚醒などの悪化サインを見逃さないよう対応します。また、気分の波や不安によって自己中断しやすいお薬の服薬管理もサポートし、再発予防を徹底します。

さらに、ご本人の対応に疲弊しているご家族への支援も大切な役割です。日々の悩みや不安をお聞きし、具体的な接し方のアドバイスや精神的なサポートを行います。必要に応じて医療機関への受診同行を行うなど、主治医や関係機関と情報を共有しながら、適切な治療が継続できるよう連携を図ります。

『訪問看護ステーションラララ』では、PTSDを抱えるご本人とご家族の生活をサポートしています。

まずは相談だけでも構いません。こちらから、お気軽にご連絡ください。

 

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