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アルコール依存症の迷惑行為はなぜ起こる?家族が困ったときの対処法と相談先

2026.06.04 精神科訪問看護とは

 

お酒を飲むと暴言を吐く、深夜に騒ぐ、約束を繰り返し破る……アルコール依存症の家族の言動に、どう対応すればいいか分からず限界を感じていませんか?

この記事では、アルコール依存症によって引き起こされる、周囲が困惑する行動(迷惑行為)の具体的な内容や、なぜそのような行動をとってしまうのかという症状の背景、そしてご家族が対応するための方法について解説します。

まずお伝えしたいのは、ご家族を悩ませている数々の言動は、ご本人の意思の弱さや性格によるものではなく、アルコール依存症という病気の症状から起こっているということです。

 

アルコール依存症で見られる迷惑行為とは?

アルコール依存症の症状を抱えていると、飲酒をコントロールできなくなり、周囲の人から見ると「迷惑」と感じてしまうような行動が顕著に現れることがあります。これらはご家族のせいではなく、病気によるものだという視点を持つことが大切です。具体的には、以下のような行動が見られます。

 

暴言・暴力をふるう

お酒を飲むことで理性が失われ、感情のコントロールが効かなくなることがあります。普段は穏やかな方であっても、些細なことで突然激怒したり、相手を傷つけるような強い言葉を投げつけたり、場合によっては暴力を振るったりすることがあります。同居しているご家族が最も恐怖を感じ、精神的・肉体的なダメージを受けやすい深刻な症状の一つです。

 

深夜の騒音・近隣トラブル

昼夜を問わず飲酒を繰り返すようになると、生活リズムが大きく崩れます。深夜に大音量でテレビを見たり、音楽をかけたり、大声で騒いだりすることがあり、同居する家族の睡眠を妨げるだけでなく、近隣住民とのトラブルに発展することがあります。ご家族は常に周囲へ気を使い、謝罪に追われて疲弊してしまいます。

 

お金のトラブル(無断使用・借金など)

お酒を手に入れるためのお金が最優先となり、金銭感覚が失われていくことがあります。生活費や家族の貯金を無断で使い込んだり、消費者金融などで借金を繰り返したりすることがあります。飲酒代だけでなく、酔った勢いで高額な買い物をしたり、トラブルを起こして賠償金を請求されたりするなど、深刻な経済的問題を引き起こすリスクがあります。

 

約束を繰り返し破る・仕事を休む

お酒を飲むことが生活の中心となるため、家族との約束や社会的な責任を果たせなくなります。大切な予定をドタキャンしたり、二日酔いや体調不良を理由に無断で仕事を休んだりすることが頻発します。周囲からの信用を失い、最終的には失業や離婚など、社会的・家庭的な孤立を招く大きな要因となります。

 

迷惑行為の原因となるアルコール依存症の症状

ご家族を悩ませるこれらの言動は、ご本人の意志の弱さからきているのではなく、アルコール依存症という「飲酒のコントロール機能が失われた病気」の症状から引き起こされています。

 

飲酒のコントロールを失っている状態

アルコール依存症の最も中核的な症状は、飲酒のコントロールができなくなることです。今日は飲まないでおこう、これくらいでやめておこうと思っていても、飲もうと思っていなくても飲んでしまう、やめようと思ってもやめられない状態に陥ります。

 

飲酒をやめようとすると体に症状が出る

アルコールが体内から抜けてくると、身体的・精神的な不快な症状が現れるようになります。飲酒をやめようとすると体に症状が出るため、自分の意志だけではやめられない状態になっています。この不快な症状を和らげるためにさらにアルコールを摂取してしまうという悪循環に陥り、依存がますます強固になっていきます。

参照:こころの情報サイト/アルコール依存症

 

アルコール依存症が悪化しているサインと受診が必要なタイミング

アルコール依存症は進行性の病気であり、放置すると身体的にも社会的にも取り返しのつかない事態を招く恐れがあります。以下のサインのうち、どれか一つでも当てはまれば、ご家族が「おかしい」と感じた時点で主治医や専門機関へご相談ください。

  • 朝から飲酒するようになった
  • 隠れて飲むようになった
  • 飲酒量が以前より明らかに増えた
  • 飲んでいないときに体調不良が続く
  • 仕事や家庭の責任を果たせなくなった
  • 飲酒について注意すると激しく怒る

 

アルコール依存症の迷惑行為に対して家族ができる対処法

ご家族がご本人の言動に巻き込まれず、自分自身を守りながら対応していくためには、アルコール依存症特有の病気の構造を理解しておく必要があります。

 

後始末をしすぎない

借金を肩代わりする、欠勤の言い訳を職場の代わりにする、飲んだ後の後片付けを毎回してあげるといった行動は、ご家族の愛情や善意からくるものであっても注意が必要です。結果としてご本人が「飲み続けても困らない状態」を作り出してしまう場合があり、本人が問題に向き合う機会を奪い、回復を遠ざけてしまうことがあります。これはご家族のせいではなく、依存症という病気の構造上起こりやすいことであり、知っておくことが大切です。頭では分かっていても、どうしても後始末せざるを得ない日もあって当然です。「今日はやってしまった」と思ってもご自身を責めず、また少しずつやり直していけば十分です。

 

感情的に責めず、飲んでいないときに短く伝える

ご本人が酔っているときの話し合いは、逆効果になることが多く危険です。感情的に責め立てたり、泣いて懇願したりしても、記憶に残っていなかったり、反発してさらに飲酒量が増えたりすることがあります。何かを伝えるときは、ご本人がシラフの状態を見計らい、事実やご家族の感情を短く冷静に伝えることが推奨されます。

 

安全が確保できない場合は警察に相談する

ご本人が暴力を振るったり、刃物を持ち出したりするなど、ご家族の身の危険を感じる状態になった場合は、絶対に一人で対応しようとしないでください。ためらわずに110番通報し、警察に相談してください。110番通報することは、家族を警察に突き出すことではなく、誰の命も守るための当然の権利です。

 

家族も一人で抱え込まず専門機関・家族会へ

アルコール依存症の問題は、ご家族だけで解決することは非常に困難です。ご本人が受診を拒否している場合でも、まずはご家族だけでも専門機関へ相談してください。お住まいの地域の保健所や精神保健福祉センターでは、無料で相談に乗ってもらえます。また、断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)といった自助グループ・家族会に参加することも有効です。「今日は話を聞くだけ」でも構いません。

 

入院が必要になるケース

ご本人の症状が著しく悪化し、外来での治療が困難になった場合や、ご自身を傷つける恐れ、あるいは他者に害を及ぼす恐れがある場合には、入院治療が必要となります。ご本人が入院に同意しない場合でも、精神保健指定医の診察の結果、入院が必要と判断され、ご家族等の同意があれば「医療保護入院」となるケースがあります。また、自傷他害の恐れが著しく高い場合は、行政の権限による「措置入院」となることもあります。

入院はご本人やご家族の努力が足りないからではなく、治療のための安全を確保するための措置です。介入のタイミングに迷ったりしても、何度でも主治医にご相談ください。

参照:こころの情報サイト/精神科の入院について

 

訪問看護でできる支援

アルコール依存症を抱える方とご家族の生活を支えるための選択肢として、精神科訪問看護があります。専門の看護師らが定期的にご自宅を訪問し、さまざまな面から療養生活をサポートします。

まず、症状悪化の早期発見に努めます。ご本人の体調や言動の変化をいち早くキャッチし、再飲酒のサインを見逃さないように対応します。また、服薬管理をサポートし、再発予防を徹底します。

さらに、ご本人の対応に疲弊しているご家族への支援も大切な役割です。日々の悩みや不安をお聞きし、病気の特性を踏まえた具体的な接し方のアドバイスや精神的なサポートを行います。必要に応じて医療機関への受診同行を行うなど、主治医や関係機関と情報を共有しながら、適切な治療が継続できるよう連携を図ります。

まずは相談だけでも構いません。こちらから、お気軽にご連絡ください。

 

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