![]()
解離性同一性障害とは
解離性同一性障害は、一人の人間の中に明確に区別される二つ以上の異なるアイデンティティ(人格状態)が存在し、それらが交代で現れる精神疾患です。かつては多重人格障害という名称で呼ばれていました。日常的なストレスから心を守るための「解離」という防衛反応が極端に働き、意識や記憶が切り離されて複数のアイデンティティとして独立した状態だと言えます。
解離性同一性障害の症状
もっとも特徴的な症状は、一人の人間の中に複数のアイデンティティが存在し、それらが代わる代わる表に出ることです。あるアイデンティティが行動している間の出来事や体験は、別のアイデンティティには共有されないことが多く、記憶喪失(健忘)を伴うことが一般的です。そのため、本人が全く覚えていない行動の痕跡を見つけたり、周囲との会話が噛み合わなかったりして、生活に混乱や強い不安が生じるのです。気になる症状がある場合は医療機関にご相談ください。
解離性同一性障害の原因
発症の背景には、幼少期に経験した深刻で反復的なトラウマ(心的外傷)体験があるとされています。身体的・精神的な虐待やネグレクトなど、逃げ出すことのできない過酷な環境に置かれた際、子どもは心と体が受ける圧倒的な苦痛から自分自身を切り離すことで生き延びようとします。その防衛反応の結果としてアイデンティティが分断され、そのまま成長してしまうことが主な原因なのです。
解離性同一性障害の診断
解離性同一性障害の診断は、精神科医などの専門家による慎重な問診を通じて行われます。複数のアイデンティティの存在や、それに伴う記憶の空白が確認されると同時に、統合失調症など他の精神疾患による症状ではないかを注意深く見極める必要があります。症状の複雑さから、正しい診断に至るまでには時間を要することも少なくありません。
解離性同一性障害の治療
治療の基本となるのは、心理療法(精神療法)を通じた専門的なアプローチです。安全で安心できる環境を確保した上で、分断されたアイデンティティ同士の理解や協調を促し、一つのアイデンティティへの統合、あるいは安定した共存を目指して治療を進めます。また、抑うつや強い不安などの症状が伴う場合には、それを緩和するための薬物療法が併用されることもあります。周囲の人は過剰に反応せず、ありのままを受け止めてサポートしていく視点を持つことが大切だと言えます。
精神科訪問看護との関わり
解離性同一性障害の治療や生活のサポートにおいて、精神科訪問看護が関わることがあるとされています。症状が落ち着いている時期も含めて、継続的に関わっていく存在として位置づけられています。 地域で安心して暮らすための選択肢として、訪問看護ステーション ラララへのご相談もご検討ください。
まとめ
解離性同一性障害は、過酷なトラウマ体験から心を守るために複数のアイデンティティが存在し、記憶喪失などを伴う疾患です。かつての多重人格障害という名称で知られていますが、治療においては心理療法を通じてアイデンティティの協調や統合を目指すことが中心となります。周囲の理解あるサポートを得ながら、専門機関と連携して長期的な視点で回復に向き合っていくことが大切なのです。
まずはご相談だけでも構いません。『こちら』から、お気軽にご相談ください。
参照:MSDマニュアル
関連記事:解離性障害とは?種類や原因、治療法を解説